こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの崇司です。
突然ですが皆さんは火災保険を使って無料で家の修繕ができますがいかがですか?と勧誘を受けていませんか?
先日、私のお客様が火災保険で家の修理をしたいという申し出があったと保険会社から連絡がありました。しかし、保険会社の担当に話を聞くと、契約者本人ではなく、よくわからない業者から保険金請求の依頼が来たとの事で、何か怪しいから、お客様に直接連絡をしてみて欲しいとの依頼でした。
お客様の所にお伺いして話を聞いてみると、突然、飛び込みで業者がやってきて、保険を使えば地震や風災などで破損した個所を無料で修理できるからと言われて契約をしてしまったとの話でした。保険金請求も業者がしてくれると言われたので、すべてお任せしたとお客様に伺い、すべての話が繋がりました。
通常、火災保険が使えるか使えないは保険会社しか判断はできないので、修理業者が勝手に保険を使えると言ってしまうのは、違法なことです。このように無料で直せるからと言われて契約をしてしまいトラブルになるケースが年々増えてきています。
そうした、トラブルに巻き込まれないように悪質業者の手口や実態、対処法などを今回ご紹介させて頂きます。
目次
保険が使えると言う住宅修理業者の実態と手口
冒頭でもお話させて頂きましたが、こういった訪問営業でトラブルに遭い被害を受けている方が年々増えてきています。損害保険協会も火災保険の契約者に注意を促しており、下記の図は損害保険協会が発行しているチラシの抜粋です。
引用:損害吠保険協会HP
火災保険を使用した住宅の修理に関する被害は、上記の図を見て頂ければわかりますが、電話や訪問営業、通信販売での勧誘であるケースがほとんどで、その中でも一番多いのは訪問勧誘です。特に狙われるのは高齢者の方で、ある日突然、営業マンがやってきて「無料で自宅の修理ができますが、興味ありませんか?」と言ってきます。
無料と言う言葉に、話を聞いてみようと家に招き入れて、詳しく聞いてみると、地震や台風などが原因で劣化が進んでいる個所を火災保険を使えば無料で修理できます。お客様の負担は一切ありません。と信憑性がある事を言われるので、それならお願いしてみようかなと契約書にサインをしてしまう方が増えているそうです。
その後は、家の状態を見せてくださいと言ってきて、軒下や屋根の写真を撮り「壁に亀裂が走ってますね」「屋根が台風で傷んでますね」などもっともなことを言って帰っていきます。
後日、再びやってきて、見積と調査報告書を提出してきます。
本当に工事をするかの意思確認をされ、業者が「弊社の方で保険金請求の手続きをさせてもらいます」と工事の日程などを調整して、工事がスタートしていきます。
ここまでの話を聞くと別に問題ないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、ここからが業者の悪どい手口の始まりです。
色々な人に相談してやっぱり何か怪しいなと思い、キャンセルしようと業者に電話すると、キャンセル料として見積金額の半額を頂きます。と高額なキャンセル料を請求されたり、保険金請求をしても、保険会社から保険金を支払えないと言われたと業者に言うと、それなら全額自己負担になりますと、当初無料でできると言っていたことと話が変わっているなど、最終的にはトラブルとなってしまう事例が多く報告されています。
こういった業者に騙されない為にもトラブル事例を知って置くことが大切ですので、ご紹介していきたいと思います。
トラブル事例
まずは代表的なトラブル事例を細かく、ご紹介していきます。
①無料で自宅を修理できると勧誘される
突然、自宅に訪問してきて「無料で自宅を修理できますよ」と勧誘されます。無料という言葉に話を詳しく聞いてみようと家に招き入れたら最後、あれよあれよと契約まで結ばれてしまいます。
大体の営業トークが火災保険に加入しているなら保険を使えば自己負担なしで家の修理が出来ますと言われ、保険請求の手続きもこちらでするのでお客様の手間は取らせませんと言われます。手間もかからず、費用も無料で家の修繕ができるなら頼んでみようと契約書に印鑑を押してしまうのです。
普通の業者なら良いのですが、悪徳業者の場合だとこの訪問勧誘がきっかけでトラブルに巻き込まれてしまいます。
②高額なキャンセル料を請求される
業者と契約をした後に、やっぱり怪しいと思い業者にキャンセルしたいと連絡を入れると見積金額の半分がキャンセル料としてかかりますと言われて高額なキャンセル料を請求されます。
契約日から8日以内であれば書面で無条件解約が可能ですが、8日を過ぎると法的には無条件解約は厳しくなります。
契約をする際は必ず、契約書を隅々まで読み不審な点があれば必ず質問をして条件を確認しておいた方が得策です。
③保険金を騙し取られる
契約後、保険会社に保険金請求をし保険金が業者に振り込まれた後、業者と連絡が取れなくなり、工事が行われないまま保険金だけを騙し取られる一番最悪なケースです。通常の場合は工事費用を先に払ってから工事が始まる為、依頼した業者がちゃんとした所でないと、この事例の様に保険金を騙し取られる危険性があります。
保険会社は通常支払った保険金をもう一度支払ってくれることはないので、同じ案件では保険金の請求はできません。
④保険が使えず全額自己負担になる
契約成立後、保険会社に保険金を請求し保険会社が調査をした結果、保険金を支払うことが出来ないと言われてしまい、その事を業者に伝えると費用を全額自己負担で払ってくれと言われてしまうケースです。
契約から8日以上経ってしまいクーリングオフも適用できずキャンセル料も高額になることから最終的に全額自己負担で修繕費用を支払うことになってしまいます。
火災保険を使う為の手続きの流れ
今回のトラブルで一番の問題点は保険金が支払われるか支払われないかだと思います。まずはどのように保険金を請求するのかを知り、どういった手順で審査が行われ保険金が支払われるのかを理解することでトラブルに巻き込まれる可能性を下げることが出来ます。
まずば保険請求をする為の手順を箇条書きにしてみます。
②保険金請求書の送付を依頼する。
③修理個所の写真や業者からの見積を保険会社や代理店に提出。
④保険金が支払われるかの保険会社による審査。
⑤保険金が業者が契約者に振り込まれる。
上記が大まかな保険金請求の流れです。
保険金の請求は通常、業者が行うことはなく、契約者が行うものです。請求する先は業者ではなく保険会社か代理店にするのが通常の手順です。
また、業者が保険金が使えるから大丈夫ですというのはコンプライアンス違反となり、保険金が使えるか使えないかは保険会社が判断することで業者が判断することはあり得ません。
なので保険金が使えるのは保険会社が正当な請求内容なのか認められなければなりません。
地震保険の申請に至っては保険会社が派遣するプロの診断士が家の破損が地震によるものでると認定されないと保険金はおりません。業者がこの家のひび割れは地震によるものにして申請をしておきましょうと言って申請をしたとしてもプロが診断するので見抜かれてしまいます。
これにより保険金がおりずに高額なキャンセル料を請求されたり、修理費用が全額負担になってしまってトラブルに巻き込まれてしまうのです。
リフォーム業者に騙されない為には?
これまで火災保険を使った悪徳業者の手口などをご紹介してきましたが、そんな業者に騙されない為のポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント!①飛び込みできた業者の話は聞かない
②信頼できる業者に一度診てもらう
③契約書は隅から隅まで目を通し、安易に印鑑を押さない
④クーリングオフができるか契約時に確認を行う
⑤保険会社、代理店、消費者センターに確認してみる
一番大切なことはいきなりやってきた得体の知れない業者の話は一切聞かない。これさえ押さえておけば騙されることはあり得ません。
おいしい話の裏には必ず落とし穴がるという事を忘れないでください。
おわりに
この記事に今たどり着いたということは、この火災保険を使った住宅修理トラブルに巻き込まれる手前か、完全に巻き込まれてしまっている方ではないかと思います。保険金を使って無料で修理できます!という業者はほぼ詐欺と思って問題ありません。
通常の業者は保険金を使って無料で修理しようとは言いません。契約者の方から保険を使って修理したいと依頼するのが定石です。または、修理をする中でこれは自然災害による損傷なので、保険会社に聞いてみてはいかがですかと提案してくれます。
保険金を騙し取られてしまったことで保険会社から訴えられたりすることはほぼありませんが、同じ事故で保険金を再度請求することや再度保険金を受け取ることはできません。
修理できる状況で、これまで保険料を払ってきたのですから、保険金を受け取る権利があります。そんな大切な保険金を業者に騙し取られたり、高額なキャンセル料を支払うなんてこんな悔しいことはありません。
業者に少しでも不信感を持ったら迷わず、保険会社や代理店、消費者センターに相談しましょう。冒頭で話をした、私のお客さんは契約をしてから8日間経っていなかったので、クーリングオフの手続きを私が行って事なきを得ました。
クーリングオフをする際は必ず書面で行い、送る際は配達記録郵便で送る様にしましょう。
業者が見ていないといてっても書面を送ったという記録が残っていれば法的にはクーリングオフが成立します。
この記事をきっかけで悪徳業者の魔の手から離れることが出来ることを切に願っております。
火災保険でお困りのことや、こういった被害にあってるかもと感じていらっしゃる方は私の事務所に是非お電話ください。相談に乗らせて頂きます。
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